矯正歯科 (166号掲載)

2017年02月更新記事
矯正のお話

とある歯医者の先生から、「先生のところ、MFTしてはりますか?」と質問がありました。このMFTというのは、筋機能療法といわれるものなのですが、咀嚼、嚥下、発音といった口腔機能を整えるもので、例えば舌のトレーニングがその一例です。すかさず、「やっていますが、いきなりMFTから行うことはほとんどなく、矯正治療を行って、その結果、鼻呼吸ができるようになったにも関わらず、従来からの悪い癖が抜けなくて、舌や口唇の振る舞いがおかしな場合に、専門の衛生士にみてもらっています」と返答しました。
おかしなもので、MFTが生まれたアメリカではとっくに流行らなくなっているのに、何故か日本ではこれがもてはやされていますが、私はどちらかというとあまり信奉していません。そもそも鼻閉や扁桃肥大の影響で鼻呼吸がうまくできない子どもたちは、舌の位置や姿勢を犠牲にして口呼吸をしているのに、その根本にある原因を解決せずに、舌や口唇や姿勢、すなわち結果から先に是正しようというのは、私には本末転倒の極みだと思えるからです。
一方で、同窓の矯正医で、矯正治療を開始する際には必ずMFTのビデオを見せて、指導を受けさせて、訓練を無理やりさせて、「はい、5万円です!」というご立派な先生がいらっしゃると聞いたことがあります。考え方も取り組み方も色々です。

西宮市・保田矯正歯科 保田好秀

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矯正歯科 (165号掲載)

2016年12月更新記事
矯正のお話

先日、読売新聞に、出っ歯の早期治療はすべきではないという記事が出ていました。「経験上、早期治療だけで出っ歯は改善されず、ほとんどはその後、再度治療が必要になる。同じ治療結果であれば、患者の利益になる治療を選ぶべきだ」というものです。歯科矯正専門医学会(恥ずかしながら知りませんでした!)が作成したガイドラインですが、矯正に携わっている者なら必ず加入している日本矯正歯科学会の方では否定も肯定もしていません。
幾つかの論文を根拠としてガイドラインが作られたわけですから、遵守すべきでしょうが、私からすると、早期治療で目的としていることがまるで違うので、違和感を覚えます。この時期は鼻閉や扁桃腺の腫れやすい時期で、鼻呼吸ができずに口呼吸をしていることが多く、その弊害が現れます。舌の位置が悪いため、狭い上顎になり易く、それに起因して下顎が後退すると、いわゆる出っ歯になります。これをこのまま放置すると、実は矯正治療がかなり難しいものとなってしまうことを幾度となく経験しています。場合によっては、下顎が小さいままであるために、睡眠時無呼吸症の予備軍となる可能性もあります。出っ歯に限らず、この時期の治療というのは、その子にとってとても大切な治療となることが多いので、私にはこのガイドラインの意味するところが理解できません。

西宮市・保田矯正歯科 保田好秀

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矯正歯科 (164号掲載)

2016年10月更新記事
矯正のお話

睡眠時無呼吸症という概念を提唱したスタンフォード大学のギルミノー教授は、「無呼吸症を治療することはできないが、予防することはできる。成人は顎切で、15歳以下は拡大だ。」と述べています。今回はこの成人の話です。
大人の無呼吸症に対しては、寝る時に下顎を前方へ誘導するような、取り外しのできる装置を装着したり、CPAPという器械で空気圧をかけて、気道の閉塞を防ぐものが一般的ですが、最近は舌の居場所を増やす目的で、上下の顎、あるいは下顎の骨を切って前方へずらす手術が行われるようになってきました。下顎の後退した、いわゆる小顎症の成人に対して、咀嚼という機能から見ても、審美的な観点からも、非常に理に叶った治療方法だと私どもも考えています。ただ、どうしても上顎が狭いことが多く、拡大が必要となります。成人の場合、上顎の天井のつなぎ目を割って拡げることは難しくて、歯を可及的に傾斜させてつじつまを合わせていたのが現状でした。しかし、技術の進歩により、最近ではアンカースクリューを併用することで、成人でも上顎の天井を、すなわち口蓋を拡げることが比較的簡単に行えるようになってきました。ですから、術後の咬み合わせの安定もよくなり、私どもも先の見通しを立てることが容易になりましたし、患者さんにとっても大きなメリットとなります。

西宮市・保田矯正歯科 保田好秀

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矯正歯科 (163号掲載)

2016年08月更新記事
矯正のお話

先日、川崎の睡眠科学センター所長の加藤久美先生の「小児の睡眠はなぜ大切か」という講演を聞く機会がありました。「閉塞性睡眠時無呼吸は小児の発育と発達にいかに影響するか」という副題がついていましたが、医者の立場からの話は説得力があり、興味深いものでした。
小児の「無呼吸症」は、大人とは違って、鼻詰まりやアデノイドなどの扁桃肥大が原因で気道が塞がれていることで起こりますが、症状として、無呼吸やいびきの他に、うつ伏せや、海老反りの態勢で寝る子が多いとのことでした。このコラムでも取り上げたオネショや寝汗のことにも言及されていましたが、眠気よりも学力低下や攻撃性、多動などの認知行動面の問題が生じ易いということは新たな知見でした。
さて、私どもの診療ですが、問診の際に、寝相、寝汗、オネショ等に加えて、きれやすいとか、精神的に不安定なことはないですか等と伺っていますが、それに加えて、学校や家で、じっとできていますかと失礼ついでに尋ねようと思っています。それで直ちに無呼吸症だと診断を下すわけではありませんが、歯並びが悪いということで来られたお子さんの上顎を拡大することで、諸症状が軽くなれば、歯並びの悪さをもたらした根本の原因が、子どもの睡眠時無呼吸を惹き起こすものと同根だということの理解を深めることができると思います。

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矯正歯科 (162号掲載)

2016年06月更新記事
矯正のお話

私どもに来院された妙齢の女性の話をしましょう。彼女は若いころに八重歯が気になって、犬歯の一つ後ろの歯を間引いて矯正治療を受けたのですが、その時は下の前歯はさわらなかったのだそうです。そのあたりの経緯はどうでもいいのですが、どうでもよくないのが、矯正治療後のケアです。矯正治療の大きな目的の一つに、磨きやすい歯並びにして、歯周病のリスクを軽減するというのがありますが、治療中、治療後の歯肉のケアが不十分なため、不幸なことに、彼女の歯周組織はかなりのダメージを受けていました。レントゲンを見ると、歯を支えている歯槽骨が減っていましたし、口腔内で歯周ポケットの深さを測ると、健康な状態では2~3mmですが、ほとんどが6mmを超えていました。もし、若いころ、矯正の装置が外れた後に、適切なケアを受けていれば、こんなことにはならずに済んだのにと、悔やまれてなりません。
矯正治療では、動かすための装置が外れれば、それで大半が済むのように思われがちですが、保定といって、動かした歯をキープする作業が患者さんには課せられますし、私たちには治療中からも大事なのですが、歯周組織のメンテナンスという作業に注力しなくてはなりません。歯がきれいに並んでも、それを支える土台がボロボロになっては、矯正治療自体、何の意味もなくなってしまいますから。

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矯正歯科 (161号掲載)

2016年03月更新記事
矯正のお話

春は新しい生活への転換点です。ですから、春休みには矯正をスタートしたいということで、相談の方が多くみえます。その一方、転勤のシーズンでもあります。これが、我々にとっても、患者さんにとっても、実に悩ましい問題となります。
矯正治療は二、三回通って完了するものではなく、年単位の期間が必要となります。場合によっては、小学生の時に二年くらいかけてⅠ期治療をし、高校生くらいから二、三年かけてⅡ期治療をするような場合もあります。転居の可能性のない場合はよいのですが、矯正治療の途中で、通院が物理的に不可能な場合には、転医という手続きをとらねばなりません。こちらとしましては、その際には、装置料の何分の一をお返しする必要もありますし、治療継続依頼の書類を整えなくてはなりません。
ただ、新しいところで全く問題が無いわけではありません。矯正治療の場合、医院によって料金の設定がバラバラですし、もっと困るのは先生によって治療の考え方が大きく異なることがあります。また、使用しているブレースも色んなメーカーがあり、仕様もまちまちです。ですから、新しいところの先生の考え方によっては、また多額の料金が発生することもないとは言えないのです。お子さんの矯正治療を始めるにあたっては、転勤という事象も、大きなネックになることをご承知おきください。

西宮市・保田矯正歯科 保田好秀

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矯正歯科 (160号掲載)

2016年01月更新記事
矯正のお話

年末に風邪をひきました。症状は喉が変で、鼻水がよく出るくらいだったので、放置していましたが、こたつに入ったり布団に入って眠る段になると、鼻がますます詰まって、仕方なく口で息をしていました。これが結構つらく、喉もすごく乾きました。寝つきも悪く、眠ったと思っても鼻呼吸が楽にできないので、浅い睡眠で半分寝ぼけた状態で口で息をしていたりしていたのでしょう、喉や口の中のコンディションは最悪でした。そんな眠りの中にも深い睡眠があって、その時は鼻呼吸を一生懸命しているため、もっと寝てられるはずなのに尿意で早く目が醒めましたし、とにかく睡眠の質は悪いと感じました。子どもの場合、自分の鼻が詰まっていることは自覚しないでしょうし、鼻詰まりは寝ている時に悪化するので、親も気づきにくいことがあるのでしょうね。こういう状態が慢性的に続いているなんて、大変なことだとつくづく感じました。これでは成長にも、あるいは脳活動にも影響が出てくるだろうと、鼻詰まりを体験することで考えさせられた次第です。私たちは歯科医ですから鼻の治療を行うことはもちろんできません。ただ上顎を拡げて不正咬合の根本的な治療を行いますが、そうすることで、鼻の通りがよくなったと聞かされることは嬉しいことで、矯正医冥利に尽きると改めて思いました。

西宮市・保田矯正歯科 保田好秀

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