眼科 (155号掲載)

2015年03月更新記事
液晶画面を一日中見ている30代ですが、眼鏡が合わなくなりました。

遠くから近くまでの広い範囲で物が見えるのには理由があります。眼の中にあるグミのようなレンズ(水晶体)が、その厚みを絶えず変化させながらピントを合わせているからです。若年者では、グミは軟らかいため容易に厚みを変えることができますが、年齢を重ねるにつれてそのグミは硬くなることで分厚くならなくなり、40代半ばを迎えると手元が見えにくくなります。10代から20代の青年期は何の苦労もなく遠くから近くまで物が見えていても、30代から40代半ばの壮年期では青年期よりも水晶体が硬くなり、長時間近くを見ていた視線を急に遠くに移しても、無理やり分厚くなっていた水晶体が急には薄くならないため、ピントは近くに合ったままで遠くが見えにくいと自覚します。最近の事務仕事の大半はビデオ表示端末を必要とし、会社員の多くは青年期から一日中、眼前50cm~70cmの液晶画面を凝視しています。30代になって遠くが見えにくくなったので、眼鏡の近視度数を上げてほしいと来院される方が多いですが、遠方に合わせた眼鏡で無理やり近くを見ているため近視化するのであり、水晶体が分厚くならなくても近くが楽に見えるように近視度数は下げるべきと説明しています。

ふじもと眼科 藤本竜太郎(日本眼科学会眼科専門医)

西宮市田中町3-1-207(阪神西宮駅南すぐグルメシティ2階)
TEL0798-37-0808
http://www.fujimotoganka.com/

眼科 (154号掲載)

2015年01月更新記事
近視の進行を抑える治療としてのオルソケラトロジー

数年前に本邦で「近視進行防止と屈折矯正」という大規模な研究斑が立ち上げられ、昨年その研究成果が報告されました。その報告のなかに、近視の進行を抑制する方法として、アトロピン点眼、オルソケラトロジー(以下、オルソ)、ビレンゼピン眼軟膏、特殊な眼鏡やソフトコンタクトレンズが検討され、この順に進行抑制効果が高いことが判りました。一番効果の高いアトロピン点眼は副作用のため実用化できないので、臨床上最も効果の高い方法は現時点でオルソになります。オルソとは、特殊なハードコンタクトレンズを毎晩着けて寝るだけで朝から裸眼で見える治療法で、安全面でもハードコンタクトレンズ並みに高いです。今回の報告では8歳から12歳の小学生を対象にオルソが行われましたが、低年齢でオルソを開始したほうが近視が進行しにくいことが判りました。このようにオルソには裸眼視力を向上させるうえに近視の進行を抑える効果があり、いいことずくめなのですが、残念ながら今のところ健康保険が適応できず、自由診療となります。当院でも開業当初からオルソを予約制にて行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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眼科 (153号掲載)

2014年12月更新記事
間欠性外斜視について

外斜視になることがときにある斜視を間欠性外斜視といい、アジア人では最も多い斜視です。間欠性外斜視では、モノを見なければならない覚醒中には努力して正面を向いていますが、睡眠中のように緊張から解放されているときは外側を向いていますので、固視に集中できない時(眠い時や体調不良時、近視等で見えづらい遠方を見続ける時)に外斜視が出現しやすくなります。外斜視は明るいところで出現しやすいため、幼少児で明所に出るとまぶしそうに片目をつむる場合、間欠性外斜視を疑います。間欠性外斜視であっても斜視でない状態では両眼視機能は良好ですが、斜視が出現すると斜視眼は抑制され、出現頻度が増えると、両眼視機能が低下します。外斜視が出現しないように意識して両眼で見ようと努力すると、成人ではしばしば眼精疲労を訴えます。また斜視が出現するとき、特に近見時に複視を訴えることがあります。治療の目的は、小児も成人も共に整容上の理由により、さらに小児では両眼視機能を保持し弱視を予防すること、成人では眼精疲労や複視を軽減することです。もし近視などの屈折異常があれば、軽度であっても眼鏡等で矯正して外斜視の出現頻度を抑えます。それでも出現頻度が多くなり諸症状が悪化すれば、手術適応です。

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眼科 (152号掲載)

2014年10月更新記事
斜視ってなに?

視機能が正常な人では、一つの目標を見るとき、両眼の視線はそれぞれ同じ方向を向いています。もし一方の眼が正面を見ているのに他方の眼が正面とは違う方向を向いていれば、それを「斜視」といい、内側に向いていれば「内斜視」、外側なら「外斜視」といいます。斜視では視線のずれが生じているため、モノが二つに見えます(複視)。ただし複視を避けようとする反応を起こし、頭を傾けたり、顔を回したり、顎を上下してモノを見ようとしますし、視覚発達段階の小児では一方の眼に写る映像を脳が見えないようにする反応(抑制)を身に着けます。抑制が起これば、モノを両眼で見る能力(両眼視機能)が発揮できません。この場合、遠近感覚やモノを立体的に見る能力が不十分なため、例えば、飛んできたボールを認識する能力に欠けて球技がうまくできない、遠近感覚が採用項目にある自動車の職業運転手や航空機の乗務員になれないなどの問題がありますが、日常生活では患者さんはあまり困っていないようです。次回は、アジア人で最も多い斜視である「間欠性外斜視」について説明します。

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眼科 (151号掲載)

2014年08月更新記事
ソフトコンタクトレンズの落とし穴( レンズケースの清潔管理)

コンタクトレンズ(CL)による合併症で最も恐ろしいのが角膜感染症で、ケア(洗浄、消毒、すすぎ、保存)を必要とするタイプのソフトCL(SCL)に多いです。CLに関連した角膜感染症が起こるしくみとして、SCLの長時間装用や装用したまま就寝すると酸素不足による角膜障害が生じ、SCLが微生物に汚染されている場合、微生物が障害部位より侵入しやすくなるためです。当然、日頃のケアをずさんにしていると起こりやすいです。ケア溶剤で最も普及しているのは、必要なケアを1剤で行う多目的溶剤(MPS)です。MPSの消毒効果はMPSを満たしたレンズケースにSCLを浸している間に発揮するそうですが、眼に直接入っても問題ない濃度なので消毒効果は弱いです。そのため、こすり洗いをしっかり行い、十分なすすぎで汚れと微生物を物理的に取り除くことが大切です。ただ、ケアをきちんと行われているにもかかわらず、重篤な角膜感染症を起こして来院される方がいらっしゃいます。丁寧に問診してみると、レンズケースの清潔管理が疎かになっていることが多いのです。レンズケースは消毒が難しいので、SCLを装用したらケース内の溶剤を捨て、水道水による流水でケースをこすり洗いして乾燥させ、微生物の増殖を防ぐことが重要です。消毒剤を新たに開封したときは古いケースは破棄し、新しいケースに交換してください。

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眼科 (150号掲載)

2014年06月更新記事
「一瞬針で刺されたような痛みを片眼に感じたのですが」

針で刺されたようなズキンとした痛みを一瞬片眼に感じたため、心配になって来院される方が多くいらっしゃいます。それらの多くは、眼表面の炎症や傷などを認めず、痛みの痕跡を見つけられません。このような一過性に自覚する痛みは、痛みを感じる神経の自発的な刺激による症状と考えられ、一種の神経痛です。眼球に限らず、一過性の痛み、痒みなどは全身のどこでも感じることがあり、病的なものではありません。稀ですが、病的なものとしては、片側の額あるいは下眼瞼から頬にかけて、突然、電撃のような強い痛みが数秒ほど続くことがあります。三叉神経痛と呼ばれ、顔の特定の領域に触れるような行為、例えば、歯磨きやひげそり、あるいは食事などを引き金として起こります。その原因として三叉神経が脳幹から出現する付近で動脈に圧迫されて起こるのが多く、治療として内服薬を試み、効果なければ神経ブロックが行われます。

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眼科 (149号掲載)

2014年04月更新記事
「瞼(まぶた)が突然腫れたのですが」…②接触性皮膚炎

瞼が突然に腫れ、健常皮膚との境目がはっきりした赤みを伴うなら、接触性皮膚炎(かぶれ)と考えます。瞼の接触性皮膚炎は瞼に付着した原因物質が皮膚に吸収された後、それに対するアレルギー反応として起こる、あるいは原因物質それ自体の刺激によって起こります。アレルギー反応が起こる仕組みは、原因物質が何度も皮膚に接触することで、皮膚がそれに敏感に反応する状態(感作)になったところに、さらに原因物質が接触すると、24時間で症状が表れて2~4日の間に最もひどくなります。つまり感作するのに数日から数年かかることがあり、長年使っているものでも急に原因となることがありますが、症状が現れた4、5日以内に接触した物質のいずれかが原因物質です。アレルギー反応を起こす原因物質には化粧品と目薬の頻度が高く、瞼だけに症状がある場合、化粧品にはアイライナー、マスカラ、付けまつ毛に使う接着剤、ビューラーなどの金属によるものが多く、目薬では充血を伴わずに流れ落ちた皮膚にのみ炎症を起こすこともあります。また古い化粧品や目薬では、変性した成分それ自体の刺激により皮膚炎が起こることがあります。治療の基本は、原因物質を突き止めてそれを除去することであり、症状を早く軽減させるために弱めのステロイド外用剤を塗布します。

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